工事完了報告書を「全件自動生成」する — 有償プラグインをやめて、コスト削減と効率化を同時に進めている話

賃貸管理の現場では、修繕・原状回復・各種工事が日々発生します。工事が終われば、写真を添えてオーナーへ「工事完了報告書」を出す。1件ずつは小さな作業ですが、管理戸数が大きくなるほど、この帳票づくりが静かに現場を圧迫します。

いま私たちは、管理戸数3万戸超の賃貸管理会社様で、この工事完了報告書の作成を全件自動化する取り組みを進めています。月に数百件規模の帳票を、人手を最小にして回す仕組みです。この記事は、その設計の考え方を「進行中の取り組み」として共有するものです(成果の数値は、本番運用が固まった段階で改めて事例として公開します)。

月数百件の報告書を、人手で作り続けていた

ご相談をいただいた時点の運用は、こうでした。

  • 帳票は、外部ベンダー製の有償プラグイン(kintone に後付けする月額課金型のもの)で出力していた
  • ところが、(1) 月額のアプリ課金が重い、(2) 保守トラブルと属人化(特定の作り込みに依存し、設定変更をきっかけに出力できなくなる事故も起きていた)、(3) 一括出力が事実上できない(一度に処理できるのは数件ずつが限界で、まとめて出そうとすると止まってしまう)

結果として、月数百件の報告書を、一覧から数件ずつ手作業でダウンロードしては印刷・封入する運用になっていました。「ツールは入っているのに、手間は減っていない」——よくある状態です。

「有償プラグインをやめる」という判断

私たちが最初に決めたのは、ツールを足すのではなく、依存を減らすことでした。

月額課金の有償プラグインを廃止し、kintone の純カスタマイズ+自動化の仕組みに置き換える。これで、毎月のプラグイン課金がそのまま消えます(コスト削減)。同時に、属人化していた「特定プラグインの作り込み」から離れ、保守の見通しを立て直す。

体制としては、代表(脇)が要件と運用判断の窓口を一貫して持ち、実装・運用は信頼する協力会社のエンジニアチームと組んで進めています。「作って渡して終わり」ではなく、仕組みを動かし続けるところまでを一緒に持つ前提です。

何を自動化しているか — 設計の中身

派手な仕掛けはありません。地味に効く設計を積み上げています。

  • 全件自動生成:まだ生成していない/失敗したレコードを自動で抽出し、1件ずつ報告書を生成 → クラウドストレージに保管 → kintone 側に「生成済」フラグと PDF のリンクを書き戻す
  • 中断・再開できる:途中で止まっても、残ったぶんを次回がそのまま拾う。複雑なチェックポイント管理は持たない
  • 進捗が見える:kintone の一覧で「生成済/要対応/失敗」が一目で分かり、残件が単調に減っていく。誰がどこまで終わったかを探さなくていい
  • 郵送もそのまま完結:オーナー単位のフォルダにまとまり、「開いて印刷 → 封入」で送れる形に整える
  • 個人情報を AI に送らない:報告書は定型テンプレートで生成します。オーナーの氏名・住所・写真を生成 AI に渡す設計にはしていません。「便利だけど、個人情報を外に出して大丈夫?」という不安を最初から作らない作りです

コスト削減と効率化を “同時に” 進める

業務改善では、「コストは下がったが現場はしんどい」「便利になったが高くついた」のどちらかに振れがちです。今回は、両方を同時に狙っています。

  • コスト削減:有償プラグインの月額課金を解消。新しい仕組みのために、お客様側で追加のランニング費用がほとんど発生しない構成にしています
  • 効率化:手作業で数件ずつだった出力を、全件まとめて自動処理へ。月数百件の報告書づくりが、現場の手を止めなくなる
  • 「DX して終わり」にしない:生成・保管・通知の仕組みは、当社が運用保守まで担うマネージドサービスとして提供します。お客様が使うのは普段どおりの kintone だけ。新しいツールを契約したり、サーバーを構えたりする必要はありません
ツールを増やすほど現場は複雑になります。今回はその逆で、「課金していたプラグインを1つ減らし、手間も減らす」のが狙いです。

基幹は残す。穴だけを、軽く埋める

念のため補足すると、これは基幹システムの入れ替えではありません。基幹(賃貸管理ソフト)はそのまま残し、その周辺でこぼれ落ちる業務を kintone のサブシステムと自動化で補う、という位置づけです。考え方は 賃貸管理の業務を kintone のサブシステムで仕組み化するなぜ不動産業務で kintone を選ぶのか でも整理しています。

現在地 — 進行中の取り組みです

設計と実装はひと通り完了し、いまは本番稼働に向けた準備段階です。いきなり旧運用を止めるのではなく、しばらく並行で動かしながら現場で確かめ、効果が固まった段階で、削減できた時間やコストを含めて改めて事例として共有する予定です。

同じ悩みがあれば、診断します

  • 「kintone のプラグインに毎月そこそこ払っているが、効果が見合っているか分からない」
  • 「帳票の一括出力ができず、結局1件ずつ手作業で出している」
  • 「報告書づくりが特定の人・特定の作り込みに依存していて不安」

こうした「帳票まわりの非効率」は、業種・規模を問わず積み上がります。60分の業務DX無料診断で、いまの運用を伺ったうえで、自動化できる範囲と費用感を具体的にお話しします。費用の考え方は 料金ページ、進め方は 導入の流れ にまとめています。

→ 業務DX無料診断(60分)を申し込む  → 30分オンライン相談